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小春日記

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浅田次郎「お腹召しませ」

浅田次郎さんの「お腹召しませ」を読みました。
浅田次郎「お腹召しませ」_d0045063_21375761.jpgお家を守るため、
妻にも娘にも
「お腹召しませ」とせっつかれる
高津又兵衛が、
最後に下した決断は…。

武士の本義が薄れた幕末維新期、
惑いながらも
おのれを貫いた男たちの物語。

表題作ほか全六篇。
中央公論文芸賞・司馬遼太郎賞受賞。
                     「BOOK」データベースより

古本屋さんで購入した一冊です。
幕末の混沌とした時代に生きた武士が主人公の短編集です。

大政奉還、王政復古、版籍奉還、廃藩置県、新政府の発足等々
新時代が順調に走りだすまでには
さぞ、いろいろなドラマがあったでしょう。

多分、農民や商人やほか諸々の下々の人たちは
生きる事に一生懸命で
どんな時代のながれがきていようと
朝起きて、ご飯を食べて、働いて、夜になったら寝る、
その生活にそう変わりはなかったかもしれません。

でも、やはり武士たちには大きな時代の流れを感じたと思います。

政治の表舞台に立つほどではなく
かといって下級武士でもない人々は
中途半端な身分なだけに、特に、苦労したんではないでしょうか?

そんな事を考えながら読みました。


話の中では「女敵討」の話が好きです。

二年半、家をあけていた吉岡貞次郎は
上司である御目付役の稲川左近から
郷里に残してきた貞次郎の妻が
出入りの商人と不貞を働いていると告げられる。

とりいそぎ郷里に戻り、不貞の現場をおさえて
情人もろとも切ってすてるようにとも言われる。

そうしなければ吉岡の家がなくなるのだ。

貞次郎は左近とともに郷里に戻り
妻と情人の不義の現場に乗り込んだ…



どの話も、読んだ後
少し心が優しくなる気がします。
温かい話が多いです。

ただ、最後の「お鷹狩」だけば
切られて死んでしまった夜鷹が可哀想すぎるという点で
好きになれないですね。
by koharu1002 | 2009-05-04 22:15 | こんな本、読みました