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小春日記

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長岡弘樹「陽だまりの偽り」

長岡弘樹さんの「陽だまりの偽り」を読みました。
長岡弘樹「陽だまりの偽り」_d0045063_9414975.jpg物忘れのひどくなってきた老人が、
嫁から預かった金を紛失。
だがこのことで、
老人は同居している彼女の
気持ちに触れる―表題作。

市役所管理の駐車場で
人が転落死した。
事件は役所内の人事に
思いもよらぬ影響を与えた―「プレイヤー」。

日常に起きた事件をきっかけに浮かびあがる、
人間の弱さや温もり、保身や欲望。

誰しも身に覚えのある心情を巧みに描きだした5編。
2008年度日本推理作家協会賞受賞作家のデビュー作、待望の文庫化。
                      「BOOK」データベースより

この作家さんも初めて読む作家さんです。

「陽だまりの偽り」「淡い青のなかに」「プレイヤー」「写心」「重い扉が」の
五編からの短編集です。

どの作品も、あるきっかけから行動が危ない方へと傾いていきます。

「陽だまりの偽り」では
嫁から預かった孫へのお金を入れたポーチを
うっかり置き忘れた主人公が「ぼけた」と思われるのが嫌で
交番に「ひったくられた」と訴える。
つじつまが合わずに「狂言」がばれたと思った主人公は
自分が語った犯人像を
自分で実行して「本当の事」にしてしまおうと考える。


私が特に好きなのは「重い扉が」です。

高校生の克己は図書館での勉強の帰りに
不良たちにからまれお金を盗られる。
一緒にいた友達は抵抗して暴力をうけ意識不明の重体になる。

モンタージュに似た男が逮捕され、
克己に証言させようとするが
克己は店の倉庫にこもってでてこようとしない。
何故か?

家族とはいっても皆いろいろな立場もあるし
考え方も違います。
反発しているように見えて実は思いやっていたりします。
いい話でした。




この作家さんも他の作品が新聞の書評にに載っていました。
「傍聞き」という作品です。
市の図書館にはおいてなかったので
県の図書館に予約しました。
読むのが楽しみです。
by koharu1002 | 2008-12-29 10:38 | こんな本、読みました