宮本輝さんの「花の降る午後」を読みました。
典子は若くして亡くなった夫の代わりに
夫の父親の残したレストランを
わからないながら必死に守ってきた。
ある日、
夫との最期の旅行で買い求めた
無名の画家の絵を
画家自身が貸してほしいと言ってきた。
降ってわいたようなレストラン乗っ取りから
店を守るために闘いながら、
新しい恋が走り出す。
前から知ってはいたんだけど
読むことがなかった作家さんでした。
主人公の典子が生きいきと描かれていて
読んでいて清清しい気分になります。
美貌、賢さ、人望、人脈、すべてもっているなんて
羨ましすぎですが…
作者が「あとがき」の中で
「…
善良な、一所懸命に生きている人々が
幸福にならなければ、この世の中で、
小説を読む値打ちは、きっとないでしょうから。」と書いています。
私もこれには大賛成です。
最期まで読んでやりきれない気分になってしまうのなら
たとえ安易でも幸福なラストで終わらせてほしいと思う一人です。
(この作品が「安易」だと言うわけではありません)
ただ「乗っ取り」の話が「闘って店を守る」と言うわりには
周りの人々に典子自身が守られていて
「知らぬ存ぜぬ」を繰り返すうちに解決してしまうのは・・・ですね(^^;
典子の人望がなせる「技」なのでしょうか?