山本一力さんの「峠越え」を読みました。
江戸深川の女衒・新三郎は、
仕事の不始末で背負い込んだ借金返済の旅に出た。
その旅先で壺振りおりゅうと出逢った偶然が、
新三郎の人生を大きく変えることになる。
二人で新たに人生をやり直すべく、
おりゅうが考え出したのは、
江島神社の裸弁天を江戸へ持ってきて公開する「出開帳」だった。
成功すれば何千両もの拝観料が手に入り、堅気に戻れるが…。
爽やかな余韻が胸に残る傑作時代小説。
「BOOK」データベースより
母が古本屋で買ったのをくれました。
面白かったです。とてもよかった。
正直なとこ、
初めは「なんで女衒なんていう男が主人公なん?」と思いながら読んでいました。
もっとも女衒と言っても主人公の新三郎は
あくどい手段で女を岡場所や吉原に売り渡すような男ではなく
食べるのも困るような家の娘などに
行く末を説明して、本人の納得の上、元締めに渡すような
ま、人情味があるっちゃあある女衒なのではあるんですが…(^^;
新三郎は自分のしでかした不始末の後始末をつけるため、
旅にでて、そこで運命の女に出会います。
で、二人はビビビ…ってくるんですね^^
それからは二人手に手をとって
次から次へとやってくる災難や無理難題を
自分たちの知恵と度胸と気配りで、乗り越えていきます。
何がいいって、
二人の心構えがいろいろな縁を呼び寄せて、
その縁に助けられてやってくる苦難を乗り越えていくのですが
二人がそれを謙虚に受け止め感謝しつつ生きているところが
ほんとに素晴らしいと思うのです。
なかなかできない事だと思います。
つい自分の力だと過信してしまうのが人間ですからね。
読後感がさわやかで勇気をもらえる一冊でした。